「文芸復興へ」〜軽量級相撲大会の意義〜 相撲の起源は神代の昔に溯ると言われている。「古事記」にも相撲の記述があり、当麻蹴速と野見宿彌の闘いが描かれている。平安時代には宮中の行事として、鎌倉時代には武士の鍛錬として行われ、江戸時代以降は大衆娯楽の一つとして、相撲は繁栄を続けてきた。 相撲は時代の流れの中で姿を変えながら生き残ってきた。しかし、ここ数十年で競技人口は急速に減り続け、夏の海の砂浜や都会の空き地でも相撲をとる若者の姿は見られなくなってしまった。相撲は「やるスポーツ」から「観るスポーツ」へと変わってしまった。 日本には、歌舞伎、能、生け花、茶道など伝統文化が数多くあるが、そのほとんどはせいぜい室町時代を起源とし、日本創世の頃から生きつづけてきた相撲は極めて稀有の「生ける文芸」だ。 経済と情報のグローバリゼーションが急速に進行する中、日本がその独自の文芸を慈しみ育む事は、日本だけの問題ではなく、人類として文化のダイナミズムを盛んにすることに他ならない。 現在、相撲といえば巨大で人間離れした人々が恐ろしげにぶつかり合う現実ばなれした競技として認識されているのであろう。 しかし、相撲はごくごく普通の人でも楽しめるスポーツだ。その事を広く知ってもらうために、香港上海倶楽部は軽量級の相撲大会を企画した。 本大会は「観るスポーツ」から「やるスポーツ」へと、相撲の地位を再び築くスポーツとしての文芸復興がそのテーマである。
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